展着剤のお話 #4 様々な機能性展着剤

展着剤のお話 #4 ~様々な機能性展着剤~

2024.07.02

濡れ性を高める機能性展着剤

展着剤はそもそも薬液の濡れ広がりを改善するために使われるのですが、この基本的な特性である「濡れ性」の部分を特に強化した機能性展着剤があります。

濡れ性を高める機能性展着剤

この濡れ広がる力が向上すると、葉の表面のワックスによって水をはじいてしまう、キャベツやねぎなどの葉への薬液の付着性が大幅に改善します。薬液をしっかりと濡れ広げ、薬剤の効果を安定させます。

キャベツやねぎは葉の表面のワックスによって水をはじいてしまう

【写真】濡れ性が向上した時のねぎへの付着の様子
濡れ性が向上した時のねぎへの付着の様子

濡れ性を高めると効果的な場面

薬液をしっかりと濡れ広ると、薬剤の効果を安定させること以外にも以下のような効果が見られます。

【薬液による汚れの改善】
薬液による汚れの改善

薬液がムラになって付着すると、薬剤が乾いた後に白く汚れとなって見えます。薬液がきれいに薄く濡れ広がると、薬剤が乾いた後にこの汚れが目立たなくなります。

【薬液が乾く速さの向上】
薬液が乾く速さの向上

散布した薬液が乾くまでの時間も、大幅に短縮されます。

殺菌剤の効果を安定させる機能性展着剤

植物の表面ではなく、病原菌の細胞に薬剤を浸透させる機能を持たせた展着剤もあります。

機能性展着剤「ドライバー」が薬剤を病原菌の細胞に取り込ませる仕組みの図
図:機能性展着剤「ドライバー」が薬剤を病原菌の細胞に取り込ませる仕組み

【写真】ドライバーのはたらきにより、菌糸に赤い蛍光色素が取り込まれた様子
ドライバーのはたらきにより、菌糸に赤い蛍光色素が取り込まれた様子

除草剤の効果を安定させる機能性展着剤

植物の表面にあるクチクラ膜の一部を溶かすことによって、浸透力を高める機能性展着剤もあります。この効果は除草剤の効果を安定させるために利用されています。

植物の表面は、雨や乾燥、紫外線から身を守るクチクラ膜で覆われています。このクチクラ膜の最も外側の層で水をはじいている「クチクラ外ワックス」を溶かし、クチクラへの薬剤の取り込みを速やかにすることによって、除草剤の効果を安定させます。

機能性展着剤「サーファクタントWK」が植物の表面から薬剤を取り込ませる仕組みの図
図:機能性展着剤「サーファクタントWK」が植物の表面から薬剤を取り込ませる仕組み

【写真】スギナに対する除草剤の効果安定の様子
スギナに対する除草剤の効果安定の様子

殺虫剤の効果を安定させる機能性展着剤

殺虫剤の効果を安定させる機能性展着剤もあります。虫の体を薬液で覆った後に、皮膜を形成することによって虫が少し弱ったところに、じわじわと有効成分を浸透させます。

虫にじわじわと有効成分を浸透させる様子

薬剤をしっかり効かせることによって、増殖力の高いハダニなどの微小害虫が密度回復してくるまでの時間を遅らせたり、抵抗性の発達を遅らせるなどの効果が期待されます。

 【写真】ハダニの虫体を薬液が覆う様子
ハダニの虫体を薬液が覆う様子

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