展着剤のお話 #1 展着剤と界面活性剤

展着剤のお話 #1 ~展着剤と界面活性剤~

2023.12.25

農薬を散布するときにプロの農家さんがよく使っている「展着剤」。この展着剤には殺虫効果も殺菌効果もありません。ではどうしてみなさん展着剤を使っているのでしょうか?
ここでは展着剤の基礎から、農薬の効果を引き出す機能性展着剤、その使い分けまで解説していきます。

展着剤は何のため?

作物には様々な形があります。葉の表面は濡れやすいものもあれば水をはじくものもあります。

作物にはさまざまな形があり、葉にはさまざまな特性があります。

農薬を効かせるためには、作物に薬液をまんべんなく付着させる必要があります。付着ムラを無くすために水量をたっぷりかけるという方法がありますが、そのためには植物上からその多くが流れ落ちてしまうほどの多量の水を必要とし、水の量に応じた薬剤も必要となります。

この水のムダを抑え、散布した薬液を効率良く植物の上に留まらせるために薬液に添加するのが展着剤です。

展着剤の成分「界面活性剤」

展着剤の主な成分は界面活性剤です。界面活性剤には以下のような性質があり、農薬で利用されています。

① 水と油を容器の中に入れると二層に分かれます。ここへ界面活性剤を加えると、二層に分かれていた水と油が混ざり合った液体になります。
これは界面活性剤の代表的な性質の一つです。本来水には溶けないような農薬の有効成分を、この性質を利用して水に溶かしています。

界面活性剤は混合性をもたらす図

② 界面活性剤を水滴に加えると、下図のように水滴の表面張力が下がり、横へと広がっていきます。これも界面活性剤の代表的な性質の一つである「ぬれ(ぬれ性)」です。展着剤は主に界面活性剤のこの性質を利用して作物への付着性を高めています。

界面活性剤の代表的な性質の一つ「ぬれ(ぬれ性)」の説明図

界面活性剤とは?

展着剤は主に界面活性剤で作られています。界面活性剤の性質を利用して、付着性、湿展性などの物理的な性質を改善します。

界面活性剤は以下のようなマッチ棒の形をした図で説明されることが多く、丸い方を「親水基」、棒状の方を「疎水基(親油基)」と呼びます。

一つの分子構造の中に、水になじみやすい親水基と、油になじみやすい疎水基を持っているため、異なった性質の物質の界面張力(反発する力)を下げ、さまざまな働きをします。

界面活性剤の模式図

界面活性剤の働き

先ほどの図に戻って界面活性剤の働きを見てみますと、①の水と油が混ざり合うのは、界面活性剤の中の水となじみやすい部分と油になじみやすい部分が、それぞれ反発する液体を結びつけるためです。

界面活性剤による油と水が混ざり合う説明の図

②で見られた表面張力の低下は、界面活性剤分子の中の水とはなじまない疎水基(親油基)が、水の外側へ向かって並ぶため、水の表面の性質を変えたためです。

界面活性剤による表面張力の変化の図

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