展着剤とは?農薬の効果を引き出す機能性展着剤の選び方

2022.09.20

展着剤とは

作物には様々な形があります。葉の表面は濡れやすいものもあれば水をはじくものもあります。害虫の体の表面もワックスや毛で覆われ、薬剤が付着しづらい構造のものがあります。
農薬を効かせるためには、薬液を届けたい場所にまんべんなく付着させる必要があります。散布した薬液を効率良く植物の上に留まらせ、農薬の効果を安定させるために薬液に添加するのが展着剤です。

展着剤の役割と界面活性剤

展着剤は作物への農薬の付着を良くしたり、雑草の除草効果を上げたりと農薬の効果をより安定させてくれる働きがあります。
ただ、展着剤の主成分である「界面活性剤」は農薬自体にも配合されていることから、「必要ない」「展着剤はどれも一緒」と思っている方もいるようです。中には「洗剤でも良いのだろう?」とおっしゃる方もおり「展着剤」の役割が十分に伝わっていない状況にあります。
石鹸や洗剤などで利用される界面活性剤の種類は多く世界全体で約4千種類以上あるといわれ、またそれぞれ性質や機能に違いがあります。そのうち日本で展着剤の有効成分として利用されているのは約20種類で、主な役割は①農薬の付着ムラの軽減 ②付着性の向上 などです。

展着剤の種類~「一般展着剤」と「機能性展着剤」

展着剤には比較的薄い濃度(5,000倍~10,000倍)で使う「一般展着剤」と、比較的濃い濃度(1,000倍~3,000倍)で使う「機能性展着剤」というものがあります。
一般展着剤に比べ機能性展着剤は、界面活性剤の持つ様々な機能を利用して農薬の効果を安定させます。

機能性展着剤のプラスアルファ機能(主な種類)

  • 農薬の浸透を促進する機能
  • 殺虫剤の効果を安定させる機能
  • 農薬の濡れ性を高める機能
  • 除草剤の効果を安定させる機能

実際に畑で薬剤を散布する際には、農薬の効果を不安定にする要因が様々あります。そのような中でも、状況に合わせて機能性展着剤を使い分けることで農薬の効果を安定させることができるのです。

詳しくは漫画形式でご紹介しています。ファイルをダウンロードしてぜひご覧ください。
「界面活性剤の性質・能力」から「展着剤の基本的な役割」「機能性展着剤の選び方」まで、イラストでわかりやすくまとまっています。
ぜひ漫画でご覧ください。

漫画「機能性展着剤ってなあに ~展着剤を上手に使うために~


漫画「機能性展着剤ってなあに ~展着剤を上手に使うために~」

「機能性展着剤ってなあに ~展着剤を上手に使うために~」(7.75 MB)

一言で「展着剤」といってもその働きは様々です。それぞれの特長や農薬との相性を理解して、目的に合わせた展着剤選びが大切です。
病害虫の発生や除草効果などで苦労されている生産者の方は、機能性展着剤を上手に使い分けて農薬の効果を引き出してみてはいかがでしょうか。

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