普段食する「西洋にんじん」に比べると、形状も色味も全く異なるのが東洋系の『金時にんじん』。初めて目にした時に最も驚くのがその色。金時にんじんの赤味はトマトの色素と同じリコピンで、西洋にんじんと比べて2倍以上も含まれており、血糖値を下げたり動脈硬化の予防に効果があると言われています。
京野菜としてのイメージがありますが、全国生産量の80%以上が香川県内で、さらにその80%にあたる1,700tがここ坂出市で栽培されています。同市の作付面積は約60ha、主な品種は「坂出7号」で、約80名の生産者が栽培に取り組んでいるそうです。
一般的な栽培作型は8月のお盆前後には種を行い、12月の食材需要時に収穫するというもの。特筆すべきは畦の高さで、40~45cm程畦立てをします。これは西洋にんじんに比べて細長く、高単価で取引される2L規格は27cm以上(※重さ250~319g)にも及ぶからです。
JA香川県坂出園芸センター集荷場の南条所長と川井氏に話を伺うと、「2013年の夏は8月下旬まで高温と干ばつが続き、灌水不足や深播きの圃場では発芽不良が散見されました。その後も台風の接近に伴う豪雨により高畦が流れて溝が埋まる圃場も発生し、手直しを行ったりと苦労の連続でした」とのこと。
主な病害虫は「虫害はハスモンヨトウやコナガ、病害は斑点細菌病や黒葉枯れ病、うどんこ病といったものですね。今夏は天候の影響もあって病害虫の発生がある程度予想されたので徹底した防除を行いました」。
生産者の平均年齢が67歳というように『高齢化』が問題で、南条所長も「担い手を探すのが今後の課題」とおっしゃっています。しかし法人化した生産者による雇用の受け入れ態勢の整備や、他の品目を増やして収益を上げる工夫を凝らすなど、状況は日々改善されてきています。今後も農業の発展に向けた積極的展開が進むにつれ、多くの方がこの特色あるにんじん栽培に取り組んでいくでしょう。