日本人の大好きなカレーライス。そのカレーに花を添えるのが「らっきょう」の酢漬け。シャリシャリとした食感と程よい酸味が口の中をサッパリしてくれる、料理の名脇役です。
らっきょうはユリ科の多年草。「薤白(がいはく)」という生薬名を持ち、漢方としても使用されている優れもの。血液をサラサラにするという効果を期待して、口にする方も多いのではないのでしょうか。
今回訪問した鳥取県鳥取市福部町は、らっきょうに特に力を入れている主力産地。JA鳥取いなば福部支店の今﨑営農指導員に話を伺うと、「栽培が盛んな理由は、このあたりは鳥取砂丘で知られるように土壌が砂地で、他の作物が栽培しにくいことがあります。また砂地栽培のほうが食感が良いことも理由の1つです。植付は7月下旬から9月上旬頃。10月下旬から11月初旬までは紫色の花が一面に広がり観光客が訪れるほどです。翌年の5月下旬から6月中旬が収穫期で多忙な時期になります。現在この地区では89戸の農家が栽培に取り組んでおり、面積は種球栽培も含めて120haになります。平成21年は10aあたり収穫量が約1,800kgなので、2,000kgを目標にして取り組んでいきます」とのこと。
主な病害虫について鳥取農業改良普及所の中野改良普及員は「重要病害は乾腐病、白色疫病、灰色カビ病です。特に乾腐病は欠株が問題ですが、ここ数年は天候に恵まれ、また薬剤の効果も出ているようで落ち着いています。白色疫病、灰色カビ病はローテーション防除で予防に努めていますが、登録薬剤が少なく大変です。虫害は秋のハモグリバエ、春のスリップス類ですね。また雑草害の問題が大きく、手取り除草に頼るところが多いので労力が掛かってしまうところでしょうか」と説明してくださいました。
今後の方向性はとの問いに今﨑営農指導員は「現在の面積を維持しながら出荷量2,000tを達成したいです。また加工のウェイトを上げて生産者の皆さんの収入増に貢献していきたいですね」とのこと。「砂丘らっきょう」の名のごとく、大きな広がりに期待が持てます。