食事を美味しくする要素は多々ありますが、食事と共に味わうワインがその一翼を担うこともあるでしょう。近年、日本ワインの人気の高まりと共に北海道内でもワイン専用品種ぶどうの栽培が盛んに行われていることは、多くの方がご存じと思います。その中でも大規模生産に取り組んでいるのが浦臼町にある有限会社鶴沼ワイナリー。敷地総面積447haのうちの125haでぶどうの栽培管理を行っています。当地での栽培状況について齋藤農場長に話を伺いました。
「1974(昭和49)年より本格的に栽培が始まり、以後40年以上に渡ります。当初よりドイツ人技術者の協力を得ながらドイツ系の品種栽培に力を入れてきましたが、消費者の好みの変化もあってフランス系の品種も増えてきています。現在栽培している品種は50種を超え、赤ワイン用と白ワイン用品種の比率はほぼ一緒です」
栽培体系については「9月中旬から10月いっぱいで収穫が終わり、12月中旬頃まで剪定を行います。冬場は機械整備や除雪、次年度の準備に取り組んで春からの作業に備えます。4月中旬頃より圃場に入れるようになり、架線してから母枝固定作業を行います。5月末には芽欠き、6月中旬には誘引作業を行い、6月下旬から7月上旬にかけて開花し、9月の収穫に至ります。収穫時期は『糖度・色・成分』を見極めて判断します」とのこと。
主な病害虫は「病害は灰かび病やべと病が問題で、特にべと病は年々発生時期が早まっており気象状況の変化を感じます。虫害はダニが毎年コンスタントに発生するようになりました。またここ数年ブドウトリバが確認され、気温の上昇が虫の発生と生育サイクルに影響を与えているように感じています」
今後の方向性についてはとの問いに「手頃な価格の日本ワインを提供し、多くの方に楽しい時間を過ごして頂きたいですね」と齋藤農場長は最後に力を込めて話してくださいました。