「ビールのお供」として真っ先に思い浮かべるのが『枝豆』。茹でたてに塩を振ってと調理法はいたってシンプルですが、それだけに豆本来の旨みが違いを分ける1品です。
“鶴舞う形の群馬県”で、その左翼あたりに位置するのが沼田市をはじめとした北毛地域。夏場の昼夜の寒暖差や霧が発生しやすい環境が枝豆栽培に適しており、現在は1961(昭和36)年の生産組合設立に端を発した「沼田利根蔬菜出荷組合」がブランド枝豆である『天狗印枝豆』の栽培に力を注いでいます。
組合を管理する有限会社塩野商店の塩野専務に話を伺うと、「当組合では総生産面積200ha、年間1,100t程の出荷量を誇ります。高低差のある地域特性を活かし標高200~800mといった標高差や、極早生から晩生種までの品種リレーなどを活用して6月上旬~10月中旬までと長期間にわたる出荷を実現しています。名前の“天狗”の由来は “天狗のお寺”として有名な沼田市内の迦葉山弥勒寺の天狗にあやかり名づけました」とのこと。
ピーク時は700名以上いた生産者も今では130名程にまで減少しましたが1軒当たりの生産面積は10倍程度にまで膨れあがりました。これは農地の集約化が進んだこと、収穫・選別・袋詰め等の機械化が進み、より多くの面積をこなせるようになった結果だそうです。
驚かされたのは「10の付加価値」と呼ぶ様々な取り組み。専用肥料を用いた土壌管理からや農薬使用の自主基準設定、甘みや旨みの分析、鮮度管理に品質責任など、どの項目に対しても妥協することがありません。また「天狗印枝豆の憲法」と呼ばれる約束事が、生産者・組合役員・管理者の塩野商店と各自の役割を果たす後押しとなっているようです。
お勧めの食べ頃はとの問いに「7月中旬と9月中下旬に出荷するものは味が乗って美味しいと評判です。特に『味緑』という商品の味には自信があります」と、夏の訪れを待ちきれなくなる一言に心躍らされました。