子どもの頃に慣れ親しんだ手遊び「おべんとうばこのうた」の歌詞でおなじみでもある『ふき』。日本原産で全国に分布しており「ふきのとう」としてもよく知られた作物です。
今回訪れた知多半島でふき栽培が広まったのは明治時代、地元で庄屋を勤めていた早川平左衛門氏宅で自家栽培したものを販売したのが始まりです。現在の状況を全国有数の栽培を誇るJAあいち知多の森岡マネージャーに伺いました。
「東海市、知多市、南知多町を中心に現在65軒の生産者で栽培面積は約45ha、出荷量は2,000tを上回ります。品種は愛知県の選抜品種を用い、柔らかく食べやすいのが特長です。6月上旬に堀り取り保冷した苗を8月上旬に定植、10月、2月、4月と収穫する栽培体系を中心に、定植時期を少しずつ後ろにずらすことで10月上旬から4月下旬まで途切らせずに出荷することを可能にしています」
主な病害虫については「病害では白絹病や半身萎凋病の防除が重要です。虫害ではナメクジ類のほか、フキノメイガ、ハスモンヨトウ、コナジラミ類、アブラムシ類の防除を重視しています。ふきは県の普及作物であり、適用拡大要望により登録のある農薬が徐々に増えているので適正防除に役立てています」
通常の出荷時の包装形態は「ラップ」に巻いた状態ですが、このラップ巻き作業が熟練の技が必要とのこと。そのため作業の簡略化を目指し、袋詰めでの包装形態の導入に向けて封入用の機械を開発し、今年から試験導入を始めました。いずれは共同選果場で袋詰めが行えるような環境が整えられれば、生産者の労力低減につながると考えているようです。
食物繊維が豊富で低カロリーと女性にお勧めしたい食材のようで、おいしい食べ方を伺うと「きんぴらやかき揚げなど、油との相性が活かされた料理です。また名古屋名物の天むすは『きゃらぶき』とセットが定番なので、ぜひ味わってください」とPR。ふきの需要拡大に熱心な姿が垣間見られました。