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三重県長島地区の「三重なばな」

三重県長島地区の「三重なばな」

一昔前には「江戸の灯りは伊勢の菜種でもつ」と言われていたほど、伊勢の国(現在の三重県)は菜種(菜の花)栽培が盛んな地域でした。その菜種の若葉を摘み取ったものが『三重なばな』として、現在では“みえの伝統野菜”の一品目に選ばれています。

もともとは油の採取を目的として育てられていた菜種ですが、生産農家の間では摘み取った脇芽を食べていました。それが非常においしかったことから徐々に市場への出荷が始まり、昭和40年代後半(1970年頃)には栽培が盛んになってきたそうです。

JAみえきた長島営農センターの三輪氏に話を伺うと、「当地区では現在100名ほどの生産者で栽培面積33ha、300tの出荷実績があり、県内出荷量の4割を占めています。水稲作の裏作として栽培され、9月初旬に種まきを行い、9月下旬に定植します。10月末頃より収穫が始まり、生育に合わせて4回ほど収穫され、3月中旬頃まで出荷が続きます」

主な病害虫は「害虫は秋口のヨトウムシ、アブラムシ、ヒラタアブの幼虫で、薬剤散布にて防除を行っています。病害に関しては根こぶ病が問題となりますが、薬剤散布だけではなく同じ圃場で連作しないような指導を行い、発生の予防に努めています」とのこと。

「栽培時期が冬場なので、伊吹おろし(当地区に吹く冬季の季節風)の影響を受け作業は大変ですが、寒さや霜に当たれば味が乗って甘くなるといった利点もあります。また生産者は高齢の方が多く、作業を軽減するため高畦栽培にしたり、業務用への販路を開拓して袋詰めしない出荷形態を取るなどの工夫をしています」と苦労の一端も伺えました。

青物野菜が市場にあまり出回らない冬場の新潟県や北海道での需要も多いそうで、全国各地でその味を堪能することが出来るようですが、春先には出荷が終わってしまうため「旬」にしか味わえない希少性を感じさせられる特別な野菜に思えてなりません。

(2015年5月掲載)

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