カーメックス顆粒水和剤は水田畦畔において雑草発生前から雑草発生揃期(草丈10㎝以下)に使用できる土壌処理型の除草剤です。雑草に対して発生抑制効果および枯殺効果を示し、長期間に渡り効果が持続するため水田畦畔の雑草防除回数の削減に貢献します。
また一年生のイネ科雑草から広葉雑草まで幅広い雑草に対して効果があります。ここでは最近話題のオヒシバに対するカーメックス顆粒水和剤の除草効果についてご紹介いたします。
オヒシバとは
オヒシバ(雄日芝、学名:Eleusine indica)は一年生のイネ科雑草で、日当たりの良い道端や土手、水田畦畔などでよく見かけることができます。水田畦畔において、特にオヒシバなどのイネ科雑草は、斑点米の原因となるカメムシ類の生息源となるため、害虫被害を抑えるためには草刈りを行う、除草剤を用いるなどの作業が必要です。しかし近年では一部の除草剤が効きづらいオヒシバの発生が報告されおり、さらに最近では発生地域が拡大しているため有効な防除方法が望まれています。
写真1:オヒシバ
写真2:オヒシバ
カーメックス顆粒水和剤のオヒシバに対する土壌処理効果
次にカーメックス顆粒水和剤のオヒシバに対する土壌処理効果を紹介いたします。今回紹介するのは、2024年度に公的研究機関において実施した試験結果です。本試験では、グリホサート抵抗性系統のオヒシバに対しても優れた発生抑制効果(処理後60~70日間の効果持続期間)が確認できました。
カーメックス顆粒水和剤のオヒシバに対する除草効果
-残効性評価基礎試験(概要)-
【試験場所】2024年 農研機構中日本農業研究センター 安濃野菜研究拠点
【試験規模】1/5000aワグネルポット 壌土(深さ10㎝) 無施肥 3反復
【土壌条件】黒色火山性土 腐食含量13.6% pH(H₂O)4.2 塩基置換容量37.0me/100g
【供試系統】三重県で採取したグリホサート抵抗性オヒシバ。
対照は通常のオヒシバ(グリホサート感受性オヒシバ)。
材料詳細は、内野ら(2003)[雑草研究68, 164-167]を参照。
<試験1:除草剤処理後播種試験>
- 除草剤処理日:2024年6月23日
- 供試薬剤、処理量:カーメックス顆粒水和剤200g/10a
- 処理方法:100ℓ/10aの水に希釈し、全面土壌散布。ハンドスプレーによる散布。
- 雑草播種:除草剤処理後、所定の時期にポットあたり100粒を表面播種。
- 水管理:屋外に設置。7月の降雨が少なかったため8月初旬より表面給水。
8月中旬より底面給水によって土壌表面を湿った状態に維持。
作業工程および調査結果(抜粋)
- 考察(抜粋):
調査を播種1ヵ月後に実施したことを考慮すれば、40日後播種および50日後播種の結果はそれぞれ、処理70日後までオヒシバの生育を抑えて高い残効性があったこと、および処理80日後には残効性が低下し始めたことを示すものと言える。
<試験2:播種後除草剤処理試験>
- 除草剤処理日:2024年8月19日(播種当日に播種後散布)
- 供試薬剤、処理量:カーメックス顆粒水和剤200g/10a
- 処理方法:100ℓ/10aの水に希釈し、全面土壌散布。ハンドスプレーによる散布。
- 雑草播種:ポットあたり50粒の種子を播種。播種後に細土を2~3㎜厚に散布し、種子を覆って表面を均平にした後、除草剤散布。
- 水管理:屋外に設置。底面給水によって土壌表面を湿った状態に維持。
作業工程および調査結果
水田畦畔におけるオヒシバに対する「カーメックス顆粒水和剤」の土壌処理効果
- 考察(抜粋):
処理30日後まで安定して高い残効性があることを示した。感受性系統に対しては処理60日後以前に残効性が低下する可能性があるものの、抵抗性系統に対しては少なくとも処理60日後まで残効性が持続するものと考えられる。
<総合考察(全文)>
本試験の結果から、カーメックス顆粒水和剤は供試したグリホサート抵抗性系統に対して、対照の感受性系統と同程度あるいは高い効果を示し、本剤の全面土壌処理によって処理60~70日後まで生育を強く抑制する残効性があると考えられる。
なお、効果の安定には、土壌表層に大きな土塊が少ない状態での全面散布、十分な土壌水分の維持といった条件が影響する可能性があった。しかし、水田畦畔における実用場面を想定すれば、通常は土壌表面が安定しており、田面水から水分が十分に供給されることから、効果の変動は少ないものと考えられる。