名前を聞くと「おしゃれな西洋野菜」とイメージしますが、『エシャレット』は若取りしたらっきょうにつけられた名前で、ここ浜松市が発祥の地の国産野菜なのです。
古い記録によると、1952(昭和27)年に地元生産者の方々と市場関係者が遠州灘にほど近い当地の砂地で栽培できる作物として、らっきょうを深植えで軟化させて食したところ、非常に美味しかったことから取り組みが始まったそうです。その際、西洋野菜「エシャロット」に似せてネーミングし、イメージ向上に繋げようとしたのが名前の由来です。
JAとぴあ浜松の大山営農アドバイザーに話を伺うと、「現在、栽培面積24ha、生産者123名で取り組んでいます。8月から9月上旬より種球を植え付け、収穫は10月下旬から翌年5月中旬まで行われます。現在はJAの保冷庫を利用して周年出荷を実現しているので、夏場でもその味を楽しめます。葉付きのものは日本髪を模した『島田結い』という独特の曲げ方で葉を束ねて出荷しますが、これは経験を重ねたベテラン農家さんほど熟練の技で美しい形に仕立てあげます」とのこと。
主な病害虫は「病害は白色疫病、春先のさび病、虫害はネギアザミウマ、ネギハモグリバエ、ネギコガが問題です。圃場が限られた地域に密集しているので、1ヶ所で発生するとすぐに蔓延してしまいます。そのため、農家の方々には産地全体を考えての適切な防除を実施して頂けるようお願いしています」。
今後の取り組みとして、「1つは地場消費の推進です。地元スーパーへ働きかけて地産地消拡大を目指しています。2つ目はやはり高齢化対策ですね。世代を超えての産地維持に努められるよう、技術を受け継がせていくことが重要だと考えています」とのことでした。
取材後、圃場の写真撮影にご協力頂いた太田正芳氏から収穫したばかりのエシャレットを頂戴しました。その日の晩酌のビールの味が格別だったことは、言うまでもありません。