寒い冬は家族や気の合う仲間達と楽しく鍋を囲みたくなる人も多いと思いますが、鍋料理に欠かせないのが様々なきのこ類。中でも「えのきたけ」は発ガン抑制物質のβ-グルカンを含有し、週に4,5回以上食べる栽培農家はガンによる死亡率が低いという疫学調査の結果があるという優れものです。
えのきたけは長野県が国内生産の1/2以上を占め、そのうちの約7割が今回訪れた中野市で生産されています。市内における年間(*平成17年産)生産量は実に4万2,900tにも及び、県内有数の巨大産地となっています。
現在のえのきたけの栽培は「ビン栽培」と呼ばれる方法。培地をビンに詰めて殺菌釜で殺菌、冷却し、その中に菌糸(種菌)を植え付け、菌糸が培地全体に繁殖してからビンの蓋を取って培養条件を変えるときのこが生えてくるというもの。1931(昭和6)年に県内で始められ、外仕事が出来ない冬期での収入が見込めることもあって、後に栽培奨励されたのが県内での普及のキッカケのようです。
長野県北信農業改良普及センターの松木主査に話を伺うと「冷房施設導入により周年栽培が可能になったこと、種菌センターや培養センターの活用という分業化、純白系種菌の安定供給体制の確立など、生産性が向上した結果が産地形成に大きく貢献しています。」
栽培上、注意しなければいけない点は?との問いには「糸状菌や細菌等の雑菌には特に注意を払います。これらの菌に汚染されたものは廃棄せざるを得ないので、培地殺菌や作業者の衛生管理を徹底し、ロスを極力少なくし、安全・安心なえのきたけを出荷するように努力しています」とのこと。
今後の課題としては「消費拡大が大きなポイントです。現在、県内の学校給食に取り入れて地産地消を促したり、温泉街で『きのこづくし』料理をもてなすなど観光客へのアピールにも力を入れています。その他、褐色系のえのきたけが見直されてきているなど、品種の多様化なども利用しながら消費拡大につなげていきたいと考えています」と最後に話してくださいました。