MCPP液剤の効果の仕組みを教えてください。
散布液が主に雑草の茎葉部から吸収されると、地上部の生長点や根部へ移行します。植物体内での内生ホルモンの正常な働きをかく乱、茎葉のねじれなどの異常、呼吸作用の異常増進による光合成能力低下を起こし、枯死に至ります。
薬量に幅(1㎡あたり0.5~1.0ml)がありますが、使用する薬量はどの程度がよいのでしょうか。
MCPP液剤は気温に効果が左右されます。高温時には効果が出やすく、低温時では効果が劣る傾向があります。同時に、芝生に対しての影響(薬害)も高温時に出やすい傾向があります。雑草への効果を維持するとともに、芝生への影響を出さないようにするためには、高温時には登録範囲内での最低薬量(1㎡当たり0.5ml)で、気温が下がるにしたがって登録範囲内での最高薬量(1㎡当たり1.0ml)で使用するように薬液を調製してください。なお以下の点についてご注意ください。
●夏期高温時:芝生への影響が考えられますので、散布についてはご留意ください。
●低温時(気温10度以下):雑草への効果が劣るので、もう少し気温が上がってからの散布をお勧めします。
水量に幅(1㎡あたり100~200ml)がありますが、使用する水量はどの程度がよいのでしょうか。
主に雑草の茎葉部から吸収されることによって効果を発揮するので、雑草の茎葉部に散布液が十分にかかることが必要です。
したがって、雑草の種類・草丈・発生密度によって必要な散布液の量は変わります。
散布液が雑草に十分に付着するよう、登録範囲内の水量で調整してください。
MCPP液剤の希釈倍数を教えてください。
MCPP液剤は面積当たりの薬量と希釈水量より適切な散布量が決まってきます。
仮に希釈倍数で薬液を調製して大量に散布した場合、MCPP液剤の面積当たりの薬量が過剰に散布されることとなり、大切な芝生にも影響(薬害)を与えるおそれがあります。また、同じ希釈倍数でも散布量が少ない場合、雑草への効果が劣るおそれがあります。
これらの事より、希釈倍数で判断するのではなく、面積当たりの薬量と希釈水量より適切な散布量で使用してください。
登録内容では以下の薬量と希釈水量で使用することが定められています。
●日本芝、西洋芝(ブルーグラス)に使用する場合:1㎡当り本剤0.5~1.0mlを100~200mlの水に加え、全面に均一に散布してください。
●公園、堤とう等で使用する場合:1㎡当り本剤0.75~1.0mlを100~200mlの水に加え、全面に均一に散布してください。
面積当たりの薬量と希釈水量については理解できますが、実際に散布液を調製する際はどのように準備すればよいのでしょうか。
(1)散布したい場所の面積をあらかじめ測っておきます。
(2)使用される散布器具の容量を確認します。
(3)1㎡当たりに使用する水量を決め、散布器具の容量に見合った散布面積を計算します。
(4)散布面積に見合った薬量を計算して、散布器具の水に溶かしてください。
MCPP液剤を散布する際、ジョウロでも散布できますか。
一般的にジョウロで散布すると、登録範囲以上の散布液がまかれるおそれがあり、芝生への影響(薬害)が懸念されるのでお勧めできません。
散布の際は除草剤用の噴霧器を使って、撒きすぎや撒きムラに注意しながら面積当たりの散布液を均一に散布してください。
特に雑草生育箇所だけを狙って集中散布すると、部分的に大量散布されることによって芝生への影響(薬害)が懸念されるので、注意してください。
MCPP液剤を散布したのですが、雑草が枯れません。
MCPP液剤を散布しても雑草が枯れない場合は下記の要因が考えられます。
●効果のない種類の雑草
MCPP液剤は、スギナやクローバーおよび畑地一年生広葉雑草に対して効果を発揮する薬剤です。芝生の葉と同じような形状のイネ科雑草には効果を発揮しません。またキク科雑草に対しても効果が劣ります。
効果の発現は散布3日後あたりから、ねじれの症状が発生し、約1週間で褐変した後、およそ2週間程度で効果が完成します。
したがってスギナやクローバーに対して効果が認められていながら、効果が不十分な雑草がある場合や、登録範囲内での十分量を散布したにもかかわらず2週間程度経過しても変化が見られない場合は、MCPP液剤では効果が期待できない種類の雑草である可能性が高いと判断してください。
●薬量不足
面積に対して散布液が不十分であったことが予想されます。また撒きムラなどが原因であることも考えられます。散布の際は、面積に合った薬量、希釈水量を算出し、適正な量の散布液を均一に散布するよう心掛けてください。
特に霧状になるノズルでは水の粒が小さいので散布水量が少なくなる傾向があり、結果的に散布面積が拡大し、面積当たりの散布液が不十分になることがありますのでご注意ください。
散布後に降雨が予想される場合は、どうしたらよいでしょうか。
MCPP液剤は主に雑草の茎葉部から吸収されることによって効果を発揮します。散布直後の降雨により雑草に付着した散布液が流れ落ちてしまうことがありますので、天候を見極めてから散布してください。降雨前に散布液が完全に乾けば効果が期待できます。
芝生の刈り込みを行いたいのですが、散布前と散布後であればどちらのタイミングがよいのですか。
MCPP液剤は主に雑草の茎葉部から吸収されることによって効果を発揮します。散布前に刈り込みを行うと、芝生と同時に雑草の茎葉部も刈り込んでしまうので散布液が付着しにくくなります。よって、刈り込みを行う場合はMCPP液剤の散布後、効果の発現を確認してから行ってください。
1回の散布でより効果を出すために、何かよい方法はありますか。
効果を安定させるために除草剤専用展着剤(サーファクタントWKなど)の加用をお勧めします。サーファクタントWKを加用することで、MCPP液剤の付着と吸収が高まり効果が安定します。
MCPP液剤の影響による芝生への薬害症状を教えてください。
登録範囲内で適正に使用した場合でも、高温時においては芝生の葉先に黄変などの症状が見られることがありますが、やがて回復に向かいその後の生育に対する影響は認められていません。
芝生が枯死に至るような強い影響(薬害)が発生する要因としては、部分散布による散布液の集中や、散布液調製時の計量の誤りなどが考えられます。
MCPP液剤を使用して雑草を枯らした後に、野菜や花の苗を植えても大丈夫でしょうか。
MCPP液剤が使用可能な場面は、日本芝と西洋芝(ブルーグラス)内の雑草防除と、公園、庭園、駐車場や宅地などでの雑草防除と決められています。家庭菜園をはじめとする作物(花・植木などを含む)の植付予定地では使用することができませんので注意してください。
生垣周りや樹木周りの雑草に散布しても大丈夫でしょうか。
低花木及び浅根性の樹木の周辺では使用しないでください。
散布液が飛散して生垣や樹木の葉に付着すると、影響(薬害)が出るおそれがあります。また、生垣や樹木の根が地中で伸びてきていると思われる場所で、かつ砂質土壌や砂利等の場合は、根部に散布液が直接到達しやすいので注意してください。
散布した後、散布場所に立ち入るにはどの程度時間をあければよいでしょうか。
少なくとも散布当日は立ち入らないように注意してください。
製品ラベルに「本剤の使用回数」が「3回以内」と書いてありますが、期間はいつからいつまでの事を指しますか。
MCPP液剤の場合、1年間での使用回数とご理解ください。
自宅の庭で使いたいのですが、薬液を量るものがありません。何かよい方法はありませんか。
現行品の500mlボトル、100mlボトルについているキャップについてはキャップ自体に刻印もありますが、摺り切り1杯でMCPP液剤8mlとなります。
一度に大量の散布液を作って、数日に分けて散布しても問題ありませんか。
使用量に合わせ薬液を調製し、使いきるのが基本的な使用方法です。
調製した散布液は翌日以降に残さないよう、当日内に撒き切ることのできる分量をあらかじめ想定してから調製してください。
散布後の噴霧器や計量に使用した道具は、どのように片付ければよいですか。
噴霧器や薬剤を計量した容器は十分水で洗ってください。また洗浄水が河川や用水路などに直接流れていかないように注意してください。
製品に記載のある「最終有効年月」の数字の意味について教えてください。
西暦(下2ケタ)+月+製造ロット番号となっています。
例:「19.10-○○○○」の場合、最終有効年月は「2019年10月」となります。