病原菌:Colletotrichum graminicola(Colletotrichum cereale)
コレトトリカム・グラミニコーラ(コレトトリカム・セリアーレ)
- 発生部位葉鞘、葉身
- 発病適温20~30℃
- 発生動向
3月から11月頃まで発生する。盛夏になっても病勢は衰えず、被害が甚大となりやすい。夏期はピシウム病や細菌性病害との複合感染になることも多い。また、乾燥ストレスを受けた芝草に本病が発生することもある。暖冬の年は2月頃から発生が見られる。ベントグラスの重要病害であるが、ライグラス、ブルーグラスにも発生する。ベントグリーン内のスズメノカタビラが発病、枯死し問題となることもある。
- 初発のでかたと被害
直径5~50㎝程度、円形または不定形のパッチで、色調は黄色、褐色、赤褐色と多様である。
- 多発時の被害
病勢が進むと、パッチが拡大融合して不定形となる。芝草は地際部から侵され、褐変し枯死に至る。パッチ内の芽数が減少し、裸地化する。
- 診断のポイント
褐変した罹病芝の葉身および葉鞘上に分生子層が形成されるので、ルーペあるいは顕微鏡観察により確認する。
- 丸和バイオケミカル(株)の取扱薬剤
エメラルドDG、タフキュアー水和剤、パッチバスター、ボンジョルノ乳剤、パッチコロン水和剤、丸和レキシコン、モノドクターフロアブル
黄色、円形パッチ
黄褐色、不定形パッチ
褐色、楕円形パッチ
褐色、不定形パッチ
外周部に灰紫色帯を持つ褐色、円形パッチ
赤褐色、円形パッチ
リング状パッチ
リング状パッチ
褐色、小型パッチ
多発した褐色、小型パッチ
罹病葉は褐変、枯死する
罹病葉は褐変、枯死する
芽数が減少し、雑草が生育している
グリーン全体に発生した様子
褐変葉上に分生子層形成がみられる
葉鞘上に付着器形成が見られる
文・写真:
丸和バイオケミカル株式会社 開発本部 顧問
農学博士田中明美(たなかあけみ)
1963年生まれ
1985年に香川大学農学部を卒業後、香川大学大学院農学研究科、愛媛大学大学院連合農学研究科に進み、1993年2月に博士(農学)取得。
1993年4月より、香川大学名誉教授 谷利一博士のもとで緑地科学研究会 主任研究員として芝草病害に関する研究・調査に従事する。谷博士の逝去後は(有)緑地科学研究会を設立し、2018年5月まで代表取締役として活動した。
2018年6月より丸和バイオケミカル(株)開発本部 技術顧問として、芝草病害に関する研究および芝草殺菌剤の開発に関わっている。