雑草防除の経緯と除草剤の導入発展
人類は古くから作物を栽培したり、道を確保したり、居住環境を整える為に雑草との戦いを繰り返して来ました。
除草の方法も、手取り除草、農耕用家畜の利用、農機具の考案利用などと進歩し、そのたびに除草効率は徐々に向上したようですが、戦後まもなく導入された除草剤(水田除草剤)は、それまでとは比較にならない少ない労力で高い除草効果をもたらし、除草の概念を一変させました。
その後半世紀あまりの間に、作物向けなど幅広い場面に多種多様の除草剤が開発され市場に送り出されました。
同時に、その種類・使用量が増加するにつれて、新しく生み出された化学物質であるがゆえに、環境破壊につながるのではとの声も社会に広がりました。
除草剤のおかれた現状と今後
国は人畜を始めとした環境に対するさまざまな高い安全基準を設け、メーカーも少なからぬ費用をかけ、これに対応してきました。基準を満たすために投資しても採算に合わない商品は次々に淘汰されました。
この傾向は今後ますます加速され、現在存在するいかなる剤も今後存続の保証はないとさえ言われています。
それだけに、剤の特性を深く理解し、適切に使用され、成果に結びつくよう努力し、剤を大事にしていくことが、私たち(メーカー・流通関係者・使用者・恩恵にあずかる人々)すべての責務であると思います。
人々の雑草防除への関わりと変化
人々の生活環境における雑草との関わりは、除草剤が始めて導入された頃からすると大きく変化してきています。
第一に都市周辺部においては、人口の増加により関わりが発生する要管理場面・面積が増加しています。第二に身の回りの整備に個人自ら、あるいは集団自治的に関わっていた時代から、管理をのぞむ多くの人々が存在する反面、ごく一部の人で管理する時代になっています。
第三にこのような中でも、ある程度残されていた地方の自治管理も高齢化や人口減少で放任への方向を加速しています。
雑草害のいろいろ
人々はあらゆる場面において、その時々の都合上、有害(不都合)とみなす植物を雑草としてきました。従って、その人・場面・時によって雑草とみなしたり、みなさなかったりすることから、防除行為への関心は異なり、時には善悪論にまで発展しますが、平素は以下のようなさまざまな雑草問題に直面しているのが現状です。
- 作物の生長の妨げになる。
(水田の中のヒエ・野菜畑の中のメヒシバ・果樹園の中のヤブガラシ植え込みのクズやセイタカアワダチソウ・芝生内の大型雑草など)
- 作物や施設の質の低下。
(牧草の中のギシギシ・ワルナスビ・種モミ中のヒエの種子混入・グラウンドの大型雑草・ゴルフ場のグリーンの雑草やフェアウェイの雑草)
- 病害虫の巣になる。
(クズに発生するカメムシ・畜舎回りのヤブ蚊など)
- 通行の足元の妨げ・歩き難い。
(農道のクズ)
- 放置したら危険(交通安全の確保)。
(鉄道線路や道路へ進入するクズ・鉄道の踏切りや道路交叉点の見通しを妨げるススキなど)
- 犯罪の温床になりやすい。
(空き地・河川敷等の大型雑草)
- 枯れたまま放置された草は火災になりやすい。生さないように要求される。
(線路肩・路肩・空き地・石油コンビナートなど)
- 水害の原因となる。
(のり面保護力に乏しい広葉雑草繁茂による崩壊・河川の流水を妨げる雑草潅木など)
- 景観を損なう。
(住居回り・諸施設回り・公園・墓地など)
除草の方法
私たちは雑草を管理するために、いろいろな工風をし対処しています。以下がその主な方法です。
<主に雑草発生前に行う方法>
- ビニール・バーク類・バラス等によるマルチング
- 除草剤(土壌処理型)・土壌くん蒸剤
<主に雑草発生後に行う方法>
- 手取り除草
- 鍬(クワ)、鋤(スキ)等による天地返し
- 鎌(カマ)、刈り払い機等による刈り取り(鉄道クズの裏返し)
- 除草剤(生育期有効な剤=接触型あるいは処理層が深く根部吸収の剤)
- 焼き払いなど。(現在は特例を除き禁止)
- 鴨等動物に食べさせる方法
雑草問題へのグループの取り組み
これからの雑草防除を考えるとき、少なくとも次の点を克服していく必要があると考えます。
- なるべく小さい環境インパクトであること
- 確実な成果をあげること。
- 労力を軽減できる(低コスト)こと。
私たちグループはこれらの課題を解決していく為に、色々な防除技術や管理資材の提供・提案をしてまいります。