ピシウム病

ピシウム病(寒地型芝草)

2023.08.07

病原菌:Pythium arrhenomanes,Pythium graminicola,Pythium vanterpoolii,Pythium volutum,Pythium sp.
ピシウム・アレノマーネス、ピシウム・グラミニコーラ、ピシウム・バンタープーリ、ピシウム・ボルタム、ピシウム属菌

ピシウム病-発生消長

  • 発生部位根、葉鞘、葉身
  • 発病適温10~25℃
  • 発生動向
    ベントグラス、ブルーグラス、ライグラス等の寒地型芝草に発生する。1年を通じて発生が見られる。播種2~3年以内のターフに発生しやすい。1980年代までに見られた夏期の発生(ピシウムブライト)のように裸地化する被害は少なくなっている。
  • 初発のでかたと被害
    様々な大きさの黄色から褐色の円形あるいは不定形のパッチが出現する。
  • 多発時の被害
    パッチが拡大、融合し、大型不定形を呈することもある。高温期のピシウム病は炭疽病や細菌病などとの複合感染が多く、他の病害の影響で芝草が枯死し、裸地化することがある。
  • 診断のポイント
    パッチ周縁部に灰緑色帯(高温期)や黄色帯(低温期)が形成されることがある。芝草組織内に胞子のうや卵胞子が形成されるので顕微鏡観察により確認する。
  • 丸和バイオケミカル(株)の取扱薬剤
    ザンプロターフ、ターフシャワー、プルーデンス水和剤、丸和レキシコン
1980年代に見られたピシウム病(高温期)

1980年代に見られたピシウム病(高温期)

1980年代に見られたピシウム病(高温期)パッチ内部から芝芽が回復し、スモーキーリングを呈する

1980年代に見られたピシウム病(高温期)
パッチ内部から芝芽が回復し、スモーキーリングを呈する

褐色、不定形のパッチ(高温期)①

褐色、不定形のパッチ(高温期)①

褐色、不定形のパッチ(高温期)②

褐色、不定形のパッチ(高温期)②

パッチ外周部に灰緑色帯が形成されることもある(高温期)

パッチ外周部に灰緑色帯が形成されることもある(高温期)

水の流れに沿うように発生したパッチ(高温期)

水の流れに沿うように発生したパッチ(高温期)

子苗ターフに発生したパッチ(高温期)

子苗ターフに発生したパッチ(高温期)

子苗ターフでは罹病葉が枯死し、裸地化する(高温期)

子苗ターフでは罹病葉が枯死し、裸地化する(高温期)

直径数cmの黄色、小型パッチ(低温期)

直径数cmの黄色、小型パッチ(低温期)

パッチ外周部が濃褐色を呈することもある(低温期)

パッチ外周部が濃褐色を呈することもある(低温期)

褐色、不定形パッチ(低温期)

褐色、不定形パッチ(低温期)

褐色、円形パッチ(低温期)

褐色、円形パッチ(低温期)

小型パッチが融合した不定形パッチ(低温期)

小型パッチが融合した不定形パッチ(低温期)

パッチの外周部に黄色帯が形成されることが多い(低温期)

パッチの外周部に黄色帯が形成されることが多い(低温期)

播種後間もない子苗では罹病葉が枯死し、裸地化する(低温期)

播種後間もない子苗では罹病葉が枯死し、裸地化する(低温期)

罹病葉上に形成されたピシウム属菌の菌糸

罹病葉上に形成されたピシウム属菌の菌糸

文・写真:
丸和バイオケミカル(株)開発本部 顧問

農学博士 田中明美(たなかあけみ)

1963年生まれ
1985年に香川大学農学部を卒業後,香川大学大学院農学研究科,愛媛大学大学院連合農学研究科に進み,1993年2月に博士(農学)取得。
1993年4月より,香川大学名誉教授 谷利一博士のもとで緑地科学研究会 主任研究員として芝草病害に関する研究・調査に従事する。谷博士の逝去後は(有)緑地科学研究会を設立し,2018年5月まで代表取締役として活動した。
2018年6月より丸和バイオケミカル(株)開発本部 技術顧問として,芝草病害に関する研究および芝草殺菌剤の開発に関わっている。

よく見られている情報
カテゴリー
  • 農薬登録の変更情報をいち早くお届け!メルマガ登録
  • LINE友達登録でお役立ち情報配信中

お問い合わせ

雑草や害虫など一人ひとりのお悩みに合わせた解決策をご提案します。
まずはお気軽にご相談ください。