病原菌:Ophiosphaerella korrae, Ophiosphaerella sp.
オフィオスフェレラ コラエ、オフィオスフェレラ属菌

- 発生部位根、ほふく茎、葉鞘、葉身
- 発病適温15~25℃
- 発生動向
日本芝およびバミューダグラスに発生する。しずみ症と称されている病害の一種である。萌芽期から初夏に発生する。秋期に発生が見られることもある。
海外ではブルーグラスの主要病害であり、暖地型芝草に発生する病害をスプリングデッドスポットと呼んでいる。
- 初発のでかたと被害
萌芽後に直径10~50㎝程度、円形または不定形のリング状、淡褐色~褐色のパッチが発生する。
- 多発時の被害
パッチが多発、融合する。罹病芝は地下部、地上部とも生育が悪くなり、芽数が減少してしずみ症状を呈する。
暖地型芝草の生育が旺盛になる盛夏には自然回復する。激発すると盛夏になっても完全に回復せず、パッチ痕が残ることがある。
- 診断のポイント
罹病芝の葉鞘、ほふく茎および根に黒褐色の菌糸ならびに菌足が形成される。ルーペまたは顕微鏡観察により確認する。
- 丸和バイオケミカル(株)の取扱薬剤
セルカディス®フロアブル、丸和レキシコン®
フェアウェイに発生したパッチ
円形または不定形のパッチ
パッチの大きさは大小様々である
パッチが融合した大型、不定形を呈している
バミューダグラスフェアウェイに激発した様子
リング状を呈しているパッチ
多発して融合した不定形の大型パッチ
パッチ発生から1カ月後の様子(パッチ内部に健全芝が生育している)
パッチ発生から2カ月後の様子(軽度のパッチはほぼ自然回復している)
バミューダグラスフェアウェイに多発した様子(明瞭なリング症状を示さないこともある)
前年秋の殺菌剤処理により発生が軽減された
罹病芝ほふく茎上の黒色菌糸
ネクロティックリングスポット病菌の菌糸と菌足
文・写真:
丸和バイオケミカル株式会社 開発本部 顧問
農学博士田中明美(たなかあけみ)
1963年生まれ
1985年に香川大学農学部を卒業後、香川大学大学院農学研究科、愛媛大学大学院連合農学研究科に進み、1993年2月に博士(農学)取得。
1993年4月より、香川大学名誉教授 谷利一博士のもとで緑地科学研究会 主任研究員として芝草病害に関する研究・調査に従事する。谷博士の逝去後は(有)緑地科学研究会を設立し、2018年5月まで代表取締役として活動した。
2018年6月より丸和バイオケミカル(株)開発本部 技術顧問として、芝草病害に関する研究および芝草殺菌剤の開発に関わっている。