病原菌:Pythium vanterpoolii,Pythium. voltum,Pythium spp.
ピシウム・バンタープーリー、ピシウム・ボルタム、ピシウム属菌
- 発生部位根、葉鞘、葉身
- 発病適温0℃付近
- 発生動向
排水不良箇所や融雪水の通り道となるところに発生しやすい。本病病原菌は低温期に寒地型芝草に発生するピシウム病菌と同じであり、根雪前に発生していることもある。
- 初発のでかたと被害
淡褐色から褐色の不定形パッチを呈する。パッチ周縁部が黄色から黄褐色を呈することもある。
- 多発時の被害
パッチが拡大、融合し、大型不定形を呈する。罹病葉は茹でたように萎縮、軟腐する。罹病芝が枯死して裸地化する。
- 診断のポイント
罹病葉が茹でたように萎縮する。罹病芝組織内にピシウム属菌の卵胞子や胞子のうが形成されるので、顕微鏡観察により確認する。
褐色、不定形のパッチ
褐色、不定形のパッチ
褐色、不定形のパッチ パッチ外周部が濃褐色を呈している
褐色、円形から不定形のパッチ パッチ外周部が濃褐色を呈している
淡褐色、不定形のパッチ パッチ外周部が黄色を呈している
淡褐色、不定形のパッチ パッチが多発、融合している
パッチが融合し、中型、不定形を呈している
重度のパッチ 芽数が減少し、裸地化している
グリーン全面に多発した様子
ティグラウンドに多発した様子 一部裸地化している
融雪後日数が経過し、グリーン表面が乾いたためパッチが淡褐色を呈している
芝芽の回復が見られる
文・写真:
丸和バイオケミカル株式会社 開発本部 顧問
農学博士田中明美(たなかあけみ)
1963年生まれ
1985年に香川大学農学部を卒業後、香川大学大学院農学研究科、愛媛大学大学院連合農学研究科に進み、1993年2月に博士(農学)取得。
1993年4月より、香川大学名誉教授 谷利一博士のもとで緑地科学研究会 主任研究員として芝草病害に関する研究・調査に従事する。谷博士の逝去後は(有)緑地科学研究会を設立し、2018年5月まで代表取締役として活動した。
2018年6月より丸和バイオケミカル(株)開発本部 技術顧問として、芝草病害に関する研究および芝草殺菌剤の開発に関わっている。