病原菌:Rhizoctonia solani
リゾクトニア・ソラニ
- 発生部位葉鞘、葉身
- 発病適温20~25℃
- 発生動向
コウライシバ、ノシバの重要病害である。セントオーガスチングラス、バミューダグラスにも発生する。春期ならびに秋期の降水量が多い年に激発しやすい。
- 初発のでかたと被害
直径10㎝~数mの円形または不定形のパッチが発生する。パッチの周縁部には赤褐色帯を形成し、内部は淡褐色から褐色を呈する。直径数10㎝以下の小さなパッチでは全体が赤褐色となる。
- 多発時の被害
パッチが拡大、融合し不定形となる。地下部が侵害されるためパッチ内の芝芽が減少し、裸地化する。
- 診断のポイント
罹病芝は地下部まで侵害されるため、地際部葉鞘から容易に引き抜くことが出来る。罹病葉の付け根部分や葉鞘部分が黒変していることが多い。罹病葉全体が赤褐色または褐色を呈し、特有の病斑を形成することはない。
- 丸和バイオケミカル(株)の取扱薬剤
セルカディスフロアブル、チッパー乳剤、パッチバスター、パッチコロン水和剤、丸和レキシコン
発生初期の円形、大型パッチ
フェアウェイに多発したパッチ
病勢が進展し、芽数の減少が見られる
小型パッチ(直径10㎝程度)と大型パッチ
殺菌剤の残効が切れ、拡大したパッチ
秋期の降雨が少ないと明瞭なパッチを形成しないこともある
罹病葉は赤褐色を呈する
罹病葉は葉鞘部から容易に引き抜ける葉鞘部に褐色の菌糸塊が見られる
文・写真:
丸和バイオケミカル株式会社 開発本部 顧問
農学博士田中明美(たなかあけみ)
1963年生まれ
1985年に香川大学農学部を卒業後、香川大学大学院農学研究科、愛媛大学大学院連合農学研究科に進み、1993年2月に博士(農学)取得。
1993年4月より、香川大学名誉教授 谷利一博士のもとで緑地科学研究会 主任研究員として芝草病害に関する研究・調査に従事する。谷博士の逝去後は(有)緑地科学研究会を設立し、2018年5月まで代表取締役として活動した。
2018年6月より丸和バイオケミカル(株)開発本部 技術顧問として、芝草病害に関する研究および芝草殺菌剤の開発に関わっている。