病原菌:Rhizoctonia solani
リゾクトニア・ソラニ
- 発生部位葉鞘、葉身
- 発病適温25~30℃
- 発生動向
7月上・中旬の高温、多雨の時期から本格的に発生し始め、9月下旬まで病勢は衰えない。5月以前や11月以降には発生しない。本病の発生は主としてベントグリーンであるが、ブルーグラスやライグラス、フェスク等のターフにも発生する。
- 初発のでかたと被害
直径数㎝~数10㎝の円形または不定形、黄褐色から褐色のパッチを生ずる。
- 多発時の被害
パッチが拡大、融合して大型不定形となる。罹病芝は地上部が褐変、枯死し、その後地下部が侵され、裸地化する。
- 診断のポイント
パッチ全体がほぼ均一に黄褐色から褐色を呈する。パッチ外周部のスモーキーリング(灰紫色帯)の有無では判断できない。罹病葉上に菌糸が形成されることが多いので、顕微鏡観察により確認する。
- 丸和バイオケミカル(株)の取扱薬剤
タフキュアー水和剤、パッチバスター、パッチコロン水和剤、プルーデンス水和剤、丸和レキシコン
黄褐色パッチ
褐色パッチ
病勢がやや進展したパッチ
パッチ外周部に灰紫色帯が形成されることもある
罹病芝上に形成された菌糸
病勢が進展し、裸地化したパッチ
ラフ(トールフェスク)に発生したパッチ
褐色リング葉腐病(右側)との混発
菌糸はT字型に分岐する
文・写真:
丸和バイオケミカル株式会社 開発本部 顧問
農学博士田中明美(たなかあけみ)
1963年生まれ
1985年に香川大学農学部を卒業後、香川大学大学院農学研究科、愛媛大学大学院連合農学研究科に進み、1993年2月に博士(農学)取得。
1993年4月より、香川大学名誉教授 谷利一博士のもとで緑地科学研究会 主任研究員として芝草病害に関する研究・調査に従事する。谷博士の逝去後は(有)緑地科学研究会を設立し、2018年5月まで代表取締役として活動した。
2018年6月より丸和バイオケミカル(株)開発本部 技術顧問として、芝草病害に関する研究および芝草殺菌剤の開発に関わっている。