病原菌:Ceratobasidium spp. (binucleate Rhizoctonia)
セラトバシディウム属菌(2核リゾクトニア属菌)
- 発生部位葉身
- 発病適温10~15℃
- 発生動向
ベントグラス、ブルーグラス、ライグラスなどの寒地型芝草に発生する。1月から3月にパッチが散発する。4月になってから目立つこともあるが、気温の上昇とともに自然治癒する。播種1年以内の幼弱ターフでは、ブラウンパッチに似た大型、不定形のパッチとなり、芝草が枯死することもある。播種後数年経過するとほとんど問題とならなくなる。
- 初発のでかたと被害
直径20~50cmの円形またはリング状、黄褐色から褐色のパッチが散発する。
- 多発時の被害
罹病芝の被害は地上部に限られるため、被害は軽微である。芽数が減少して裸地化するようなことは少ない。多発するとターフの美観が損なわれる。ただし、播種1年以内の幼弱なターフでは、ブラウンパッチに似た大型、不定形のパッチとなり、芝草が枯死することもある。
- 診断のポイント
リング状あるいは円形の黄色から褐色のパッチを呈する。パッチ周縁部に黄色帯は形成しない。
- 丸和バイオケミカル(株)の取扱薬剤
プルーデンス水和剤
黄色、円形、リング状パッチ
褐色、円形、リング状パッチ
黄褐色、円形パッチ
褐色、円形パッチ
多発した褐色、円形パッチ
オーバーシードしたライグラスに発生した黄色、円形パッチ
ベントグラス子苗に発生したパッチ
ウインターパッチと春はげ症の病原菌は同一である
罹病葉上に形成された菌糸塊
罹病葉上に形成された菌核
文・写真:
丸和バイオケミカル株式会社 開発本部 顧問
農学博士田中明美(たなかあけみ)
1963年生まれ
1985年に香川大学農学部を卒業後、香川大学大学院農学研究科、愛媛大学大学院連合農学研究科に進み、1993年2月に博士(農学)取得。
1993年4月より、香川大学名誉教授 谷利一博士のもとで緑地科学研究会 主任研究員として芝草病害に関する研究・調査に従事する。谷博士の逝去後は(有)緑地科学研究会を設立し、2018年5月まで代表取締役として活動した。
2018年6月より丸和バイオケミカル(株)開発本部 技術顧問として、芝草病害に関する研究および芝草殺菌剤の開発に関わっている。