疑似葉腐病(象の足跡)(円形パッチと融合した不定形パッチ)

疑似葉腐病(象の足跡)

2023.09.29

病原菌:Ceratobasidium spp. (binucleate Rhizoctonia)
セラトバシディウム属菌(2核リゾクトニア属菌)

疑似葉腐病(象の足跡)-発生消長

  • 発生部位葉身
  • 発病適温20~25℃
  • 発生動向
    ノシバ、コウライシバに発生する。刈高の高いターフに多発するが、グリーンのように低く刈り込んだターフにも発生する。9月以降の発生が中心であるが、早い場合には5月頃から発生が始まることがある。
  • 初発のでかたと被害
    直径20~50㎝の円形、褐色のパッチが出現する。パッチ内の芝全体が褐変する場合と内部に健全芝が残る場合とがある。
  • 多発時の被害
    パッチが拡大融合し、美観が損なわれる。地下部までは侵害しないので、裸地化することはない。
  • 診断のポイント
    罹病葉に紋枯様の病斑が形成される。
  • 丸和バイオケミカル(株)の取扱薬剤
    セルカディスフロアブル、プルーデンス水和剤
疑似葉腐病(象の足跡)(ラフに多発したパッチ)

ラフに多発したパッチ

疑似葉腐病(象の足跡)(バンカー周りのヘビーラフに発生したパッチ)

バンカー周りのヘビーラフに発生したパッチ

疑似葉腐病(象の足跡)(フェアウェイとラフに発生したパッチ)

フェアウェイとラフに発生したパッチ

疑似葉腐病(象の足跡)(フェアウェイに発生したパッチ)

フェアウェイに発生したパッチ

疑似葉腐病(象の足跡)(円形パッチと融合した不定形パッチ)

円形パッチと融合した不定形パッチ

疑似葉腐病(象の足跡)(パッチ全体が褐変症状を呈している)

パッチ全体が褐変症状を呈している

疑似葉腐病(象の足跡)(パッチ内に健全芝が残りドーナツ状を呈している)

パッチ内に健全芝が残りドーナツ状を呈している

疑似葉腐病(象の足跡)(罹病葉上に紋枯様病斑が見られる)

罹病葉上に紋枯様病斑が見られる

文・写真:
丸和バイオケミカル株式会社 開発本部 顧問
農学博士田中明美(たなかあけみ)

1963年生まれ
1985年に香川大学農学部を卒業後、香川大学大学院農学研究科、愛媛大学大学院連合農学研究科に進み、1993年2月に博士(農学)取得。
1993年4月より、香川大学名誉教授 谷利一博士のもとで緑地科学研究会 主任研究員として芝草病害に関する研究・調査に従事する。谷博士の逝去後は(有)緑地科学研究会を設立し、2018年5月まで代表取締役として活動した。
2018年6月より丸和バイオケミカル(株)開発本部 技術顧問として、芝草病害に関する研究および芝草殺菌剤の開発に関わっている。

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