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MBCニュース 話題の作物を訪ねて
MBCニュースとは
1986(昭和61)年1月、「丸和の動きや方針、技術情報など知らせてくれるニュースのようなものが欲しい」との要望に応え、広報部(当時)が担当して企業広報誌「MBCニュース」第一号を発刊致しました。経営方針や新製品情報、業界の動向などを中心に発行し、2004年9月発行(第70)号をもって、その機能を紙の印刷物より本ホームページに移行いたしました。今後も各地の話題などを「最新情報」のページとともに掲載していく予定です。
以前掲載された連載企画「話題の作物を訪ねて」から、ここ最近の記事と新たに取材した記事を掲載させて頂きます。
バックナンバー
栃木県小山地区の「ハトムギ」静岡県浜松市の「エシャレット」
北海道本別町の「あずき」宮崎県の「日向夏」山形県天童市の「ラ・フランス」
長野県須坂市の「ナガノパープル」高知県の「文旦」鳥取県鳥取市福部町の「砂丘らっきょう」
福岡県八女地域の「八女茶」富山県の「チューリップ」青森県田子町の「にんにく」
栃木県小山地区の「ハトムギ」
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photoその名前からは麦の仲間と思われがちですが、植物分類上はトウモロコシに近い『ハトムギ』。漢方としては「ヨクイニン」と呼ぶそうで、この言葉を聞いてすぐに何かわかる方は、健康志向が強いのではないでしょうか。

ここ小山地区でハトムギ栽培が本格的に始まったのは1991(平成3)年のこと。当初は2名の生産者、わずか1.3haの作付で始まりましたが、18年後の2009(平成21)年には110haまで栽培面積が増加しました。今回は、この地でハトムギ栽培に魅了され、産地を牽引してきた株式会社田肥料店の田光紹社長に話を伺うことが出来ました。

「始まりは、水稲からの転作として取り上げられたのがきっかけです。当地は土地利用型農業に適しており、『米+大豆』などの二毛作も行われていましたが、連作障害の発生などから『米+ハトムギ』の栽培体系が試験的に導入され、その後徐々に浸透していきました。今では『表作がハトムギ、裏作が米』と言う生産者さんもいるんですよ」とのこと。

主な病害虫に関しては、「病害は葉枯病と黒穂病、虫害はアワノメイガやイネヨトウの発生が問題になりますが、適正防除に努め、被害を最小限に抑えています」と頼もしい発言。しかし、登録のある農薬が少ないため、「使用可能な農薬のバリエーションが増えることを期待しています」と弊社への要望も。

現在、小山市内の公立小中学校38校の学校給食に取り入れられ『地産地消』にも積極的ですが、「お茶や漢方といった用途以外での需要を増やしたいですね。現在は焼酎や味噌、アイスクリーム等がありますが、様々な効用を活かして美容目的の女性にもたくさん消費して頂けるよう、新たな加工品を模索中です」。

昨年発生した原発事故の風評被害も決して少なくないようですが、「産地の灯は絶対に消しません」と、自らを奮い立たせるかのごとく力強く語る田社長。その眼差しには、一点の曇りも見ることは出来ませんでした。

(2012年5月掲載)
静岡県浜松市の「エシャレット」
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photo名前を聞くと「おしゃれな西洋野菜」とイメージしますが、『エシャレット』は若取りしたらっきょうにつけられた名前で、ここ浜松市が発祥の地の国産野菜なのです。

古い記録によると、1952(昭和27)年に地元生産者の方々と市場関係者が遠州灘にほど近い当地の砂地で栽培できる作物として、らっきょうを深植えで軟化させて食したところ、非常に美味しかったことから取り組みが始まったそうです。その際、西洋野菜「エシャロット」に似せてネーミングし、イメージ向上に繋げようとしたのが名前の由来です。

JAとぴあ浜松の大山営農アドバイザーに話を伺うと、「現在、栽培面積24ha、生産者123名で取り組んでいます。8月から9月上旬より種球を植え付け、収穫は10月下旬から翌年5月中旬まで行われます。現在はJAの保冷庫を利用して周年出荷を実現しているので、夏場でもその味を楽しめます。葉付きのものは日本髪を模した『島田結い』という独特の曲げ方で葉を束ねて出荷しますが、これは経験を重ねたベテラン農家さんほど熟練の技で美しい形に仕立てあげます」とのこと。

主な病害虫は「病害は白色疫病、春先のさび病、虫害はネギアザミウマ、ネギハモグリバエ、ネギコガが問題です。圃場が限られた地域に密集しているので、1ヶ所で発生するとすぐに蔓延してしまいます。そのため、農家の方々には産地全体を考えての適切な防除を実施して頂けるようお願いしています」。

今後の取り組みとして、「1つは地場消費の推進です。地元スーパーへ働きかけて地産地消拡大を目指しています。2つ目はやはり高齢化対策ですね。世代を超えての産地維持に努められるよう、技術を受け継がせていくことが重要だと考えています」とのことでした。

取材後、圃場の写真撮影にご協力頂いた太田正芳氏から収穫したばかりのエシャレットを頂戴しました。その日の晩酌のビールの味が格別だったことは、言うまでもありません。

(2012年1月掲載)
北海道本別町の「あずき」
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photo和菓子に欠かせない餡子の原料であり、赤飯に入れればおめでたい席を飾る食事として喜ばれる『あずき』。過去には「赤いダイヤ」として小説の題材になったこともあるあずきは縄文時代の遺跡からも発見され、さらに「古事記」にもその名が記載されているという、古くから日本人に親しみのある豆の1つです。

北海道は平成22年産の全国の収穫量の9割弱を占め、国内でも群を抜いています。なかでも今回訪れた本別町は『日本一の豆のまち』をキャッチフレーズにするほど、あずきを始めとする豆類栽培の盛んな地域です。

JA本別町購買部生産資材課の笠原主査に話を伺うと「本地域での豆類の生産面積は1,940haで、そのうちあずきは884haを占めます。主たる品種はエリモショウズで5月に植付けを行い、8月初旬に開花後、9月初旬から収穫というのが一般的な栽培体系です。日照時間の長さ、寒暖の差が味に影響するようで、和菓子屋さんから『あずきは本別産』とご指名を受けることもあるようです」とのこと。

主な病害虫については「虫害はアブラムシやタネバエ、アズキノメイガ等が発生しますが、防除をきちんと行えば、それほど大きな問題にはなりません。むしろ灰色かび病、菌核病といった病害の方が問題で、8月頃の降雨後に気温が上がらない天候だと発生するので防除が重要になってきます」。

かつては『ニオ積み』という、刈り取った株を畑に積み上げて自然乾燥させる風景が秋の風物詩でしたが、機械化が進んだ今はあまり見られなくなったようです。「現在はピックアップ収穫といった機械化の進んだ収穫方法に移行して省力化につながっています。またコンバインを利用した方法も導入されつつあり、収穫作業の効率化は今後も進んでいくでしょう」とのこと。苦労が技術を発展させ、さらに飛躍していくという好循環を生み出すパワーが、本別町のあずき栽培には秘められていると感じさせられる晩夏の1日でした。

(2011年9月掲載)
宮崎県の「日向夏」
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photo九州の東南端に位置する宮崎県。県木の「フェニックス(カナリーヤシ)」を至る所で見かけるなど、この温暖で南国情緒豊かな地で『日向夏』は県の特産物として盛んに生産されています。

日向夏は1820年頃、宮崎市曽井の山中で真方安太郎氏が発見したといわれている宮崎県生まれの純国産果実。平成21年産の栽培面積は187ha、収穫量は2,719tと全国の生産量の約半分が県内で栽培されています。特徴的なのはその食べ方。白皮(アルベド)に甘みがあり果肉と一緒に食べられるので、リンゴのように皮を剥いて食せば他の柑橘にはない独特の食感と風味を、春〜初夏にかけての爽やかな季節に堪能することが出来ます。

栽培概要について宮崎県総合農業試験場 亜熱帯作物支場の黒木技師に話を伺うと、「露地栽培の場合は5月上旬に開花し、翌年3月に収穫というのが一般的な作型です。特に忙しい季節は開花期で、これは日向夏が『自家不和合性』といって自分の花粉では果実が実らないため、人工受粉を行わなければならないためです。受粉樹に使われるのは『口之津41号』という品種で、ある程度の大玉となり、種も少ない実が育ちます」とのこと。

主な病害虫については「虫害はここ2,3年でアザミウマ類が多く発生している傾向があります。病害ではウイルス病の発生がありますが、病気に強い苗木であればそれほど大きな問題とならないので助かっています」。

今後の方向性はとの問いに宮崎県営農支援課の山口副主幹は「これからは県としてブランド化(※キャラクター:日向夏ちゃん)に力を注ぎ、贈答用だけでなく一般消費用やカットフルーツへの展開、食品メーカーとの協力で日向夏のラインアップを増やしていきたいです。また出荷量の8割が県内消費なので、今後は首都圏をはじめとする県外へと目を向け、多くの方においしさを味わってもらいたいですね」とのこと。日向夏のPRに日々勤しんでいる様子が目に浮かびました。

(2011年5月掲載)
山形県天童市の「ラ・フランス」
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photoそのゴツゴツとした無骨な見た目とは裏腹に、とろけるような舌触り、口の中いっぱいに広がる柔らかな甘みと高貴な芳香が特長の『ラ・フランス』。その名の通り、フランス原産の西洋なしは1864年に発見されました。私達がよく口にするようになったのは比較的最近ですが、国内への導入は明治時代で、バードレッドという品種の授粉樹として栽培されていたそうです。

意外なのがその食べ頃。収穫直後ではなく冷蔵庫で10日間冷やした後に、さらに14日ほど追熟させた後。硬かった果実がとろけるような柔らかさになり、香りや甘みが増し、初めておいしく味わうことが出来ます。

平成20年における山形県内の西洋なしの栽培面積は1,070ha、収穫量は21,200tと全国流通の63%を占め、そのうちの8割がラ・フランスです。また今回訪れた天童市は、ラ・フランスの全国流通の1割強を出荷する一大産地として名を馳せています。

主な病害虫について、山形県園芸試験場の米野研究員に話を伺うと「特に輪紋病が問題で、6月〜8月上旬にかけて果実に菌が感染します。収穫時点では症状が分かりにくいのが難点で、感染した果実は追熟期に発病してしまいます。重点防除時期が梅雨時期ということもあり、いかにタイミングよく防除するかが重要になります」とのこと。

今後の取り組みについての問いに「収穫時期が味わいを左右するので、適期収穫が重要なポイントです。早ければ味に影響しますし、遅ければ実の内部褐変が発生します。そのため産地と県が一体となって収穫適期の判定を行っています。やはりおいしいラ・フランスを食べていただきたいですからね。またラ・フランスに偏った品種構成は、新品種の開発等により徐々に解消し、消費者に長期間おいしい西洋なしを食べてもらえるようにしていきたいです」と語る米野研究員の言葉に迷いは微塵もなさそうです。

(2011年1月掲載)
長野県須坂市の「ナガノパープル」
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photo大粒の房がたわわに実るぶどう。「好きだけど、皮を剥いて種を出すのが面倒」と伸ばしかけた手を引っ込めた経験のある人に朗報です。『ナガノパープル』は、種無しで皮ごと食べられる新しい品種のぶどうなのですから。

長野県果樹試験場で平成2年に「巨峰」と「ロザリオビアンコ」を交配して誕生した『ナガノパープル』は、平成16年に品種登録され、現在は長野県内でしか栽培することが出来ない貴重なぶどうです。須坂市を管下に置くJA須高管内の栽培面積は約40haで県内の2/3の生産量を誇る一大産地。平成22年度は前年比3割増の160tの出荷を目指し、ナガノパープルのブランド化に力を注いでいます。

今回取材に訪れたのが8月のお盆明けで、9月初旬から出荷見込みのたくさんの果房が実る時期。同市内の松沢正敏さんの圃場で頭上にナガノパープルを見上げながら、JA須高営農生活部販売企画課の藤沢課長と野堀技術員に話を伺いました。「この地域は昔からぶどう栽培が盛んで、主に巨峰を栽培してきましたが、他産地と差別化できる品種の導入が大切との考えから取り組みが始まりました。登録が下りた平成16年より本格的に栽培を開始し、現在は300戸ほどの農家の方が生産されています」とのこと。

栽培管理の中での一番の問題が「裂果」。果皮が薄いため、実が肥大してくると皮が裂けてしまいやすいのだそうです。この点について「水分バランスが影響しているので、降雨や灌水管理には非常に神経を使います。平成20年度は特に発生が多く、農家の皆さんが大変苦労されました。現在は果樹試験場と協力し、同時進行で裂果対策に注力しているところです」と説明してくださいました。

「今はまだ管内のぶどう出荷量の大部分が巨峰ですが、将来的にはナガノパープルを初めとした多品種展開で、より産地を活性化していきたいですね」と先を見据えた取り組みに、大きな発展を予感せずにはいられません。

(2010年9月掲載)
高知県の「文旦」
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photo眩しいほどの鮮やかな黄色、重厚で存在感タップリの果実、『文旦』。南国土佐を象徴するこの果物は江戸時代初期に日本に渡来したと言われています。自然交雑により様々な品種を生み出しており、グレープフルーツもそのうちの1つなのだそうです。

国内生産量の約9割(※平成18年度産)が高知県産であることから、県を代表する農産物の1つと言えるでしょう。中でも土佐市は県内の5割以上の生産量を誇り、同市宮之内地区には「土佐文旦発祥之地」として石碑が建てられています。

高知県農業技術センター果樹試験場の田中チーフに栽培状況を伺うと、「例年3月下旬頃に発芽が始まり、5月上旬に開花します。開花中は他品種の花粉で人工授粉を行います。6月下旬〜7月にかけては摘果、8月頃には台風対策などの管理、11月に入っての仕上げ摘果などを行った後、12月から収穫を行います。収穫後は『野囲い』といって園地にムシロなどを敷いた上に文旦を置き、藁などで覆い2ヶ月ほど追熟させてから出荷を行います」とのこと。現在の収穫量については「平成20年度の栽培面積は441ha、生産量は10,578tでした」と説明してくださいました。

主な病害虫については「病害では黒点病とかいよう病が主体です。虫害ではハナムグリやケシキスイなどの訪花害虫や、カイガラムシ類の被害があります。そのため、これらの病害虫については適時防除が必要です」。

これからの方向性については「あるOBからの受け売りですが、皮が厚く剥きにくいからこそ、お父さんが皮を、お母さんが袋を剥く。そうして子供たちが食べるという一家団欒でワイワイ言いながら食べてもらいたいですね」。『孤食』からの脱却に“一肌”ならぬ“一皮”脱ぎたいといったところでしょうか。「そのためにも全国的な知名度をもっと上げたいです」とのこと。食卓を明るくするのは、その鮮やかな果皮の色だけではなさそうです。

(2010年5月掲載)
鳥取県鳥取市福部町の「砂丘らっきょう」
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photo日本人の大好きなカレーライス。そのカレーに花を添えるのが「らっきょう」の酢漬け。シャリシャリとした食感と程よい酸味が口の中をサッパリしてくれる、料理の名脇役です。

らっきょうはユリ科の多年草。「薤白(がいはく)」という生薬名を持ち、漢方としても使用されている優れもの。血液をサラサラにするという効果を期待して、口にする方も多いのではないのでしょうか。

今回訪問した鳥取県鳥取市福部町は、らっきょうに特に力を入れている主力産地。JA鳥取いなば福部支店の今ア営農指導員に話を伺うと、「栽培が盛んな理由は、このあたりは鳥取砂丘で知られるように土壌が砂地で、他の作物が栽培しにくいことがあります。また砂地栽培のほうが食感が良いことも理由の1つです。植付は7月下旬から9月上旬頃。10月下旬から11月初旬までは紫色の花が一面に広がり観光客が訪れるほどです。翌年の5月下旬から6月中旬が収穫期で多忙な時期になります。現在この地区では89戸の農家が栽培に取り組んでおり、面積は種球栽培も含めて120haになります。平成21年は10aあたり収穫量が約1,800kgなので、2,000kgを目標にして取り組んでいきます」とのこと。

主な病害虫について鳥取農業改良普及所の中野改良普及員は「重要病害は乾腐病、白色疫病、灰色カビ病です。特に乾腐病は欠株が問題ですが、ここ数年は天候に恵まれ、また薬剤の効果も出ているようで落ち着いています。白色疫病、灰色カビ病はローテーション防除で予防に努めていますが、登録薬剤が少なく大変です。虫害は秋のハモグリバエ、春のスリップス類ですね。また雑草害の問題が大きく、手取り除草に頼るところが多いので労力が掛かってしまうところでしょうか」と説明してくださいました。

今後の方向性はとの問いに今ア営農指導員は「現在の面積を維持しながら出荷量2,000tを達成したいです。また加工のウェイトを上げて生産者の皆さんの収入増に貢献していきたいですね」とのこと。「砂丘らっきょう」の名のごとく、大きな広がりに期待が持てます。

(2010年1月掲載)
福岡県八女地域の「八女茶」
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photoホッと一息つきたい時や、気分転換したい時などに何気なく口にするのが「お茶にしよう」という一言。お茶は毎日の生活の中の句読点のごとく、1日の生活リズムを調整してくれるような不思議な存在です。

今回訪問した福岡県八女地域は全国屈指のお茶の産地。7市町村から出荷される薫り高く味わい深い茶葉は、『福岡の八女茶』のブランドで全国にその名が知れ渡っています。

JAふくおか八女 農産部茶業課の森田課長に話を伺うと「当地域では約1,500ha、2,400名弱の生産者の方が茶栽培に取組んでおり、栽培地帯は中山間地と平地で半々程度です。主力品種は『やぶきた』ですが煎茶・かぶせ茶・玉露・伝統本玉露等を生産しています。特徴的なのが『伝統本玉露』で被覆資材(稲わら・すまき)を限定、1.5葉期頃に被覆を開始し、芽の伸長具合を見ながら被覆程度を厚くして高品質を保ち、香りや味の良さで高い評価を得ています」とのこと。

主な病害虫はとの問いに「虫害はダニ、ウンカ、スリップスが問題ですね。地球温暖化の影響か、発生サイクルが早くなりつつあり苦慮しています。病害は新梢枯死症、赤焼病が問題です。防除適期の把握が必要ですね」と説明して下さいました。

現在の取り組みについて、福岡県八女地域農業改良普及センターの東係長に話を伺うと「乗用型機械が園地に入ることにより土壌の硬化が進むため、園地の土壌改善を推進しています。また、県が輸出を促進するなど販売面でのサポートに取り組んでおり、日本食ブームも手伝って、現在はドイツなどヨーロッパへの輸出が増加しています。他にも『活力研究会』が発足して、生産と販売の両面を向上させていく取り組みが始まっています」とのことでした。

全国茶品評会・玉露の部において、平成13年より9年連続で同地域内の生産者が農林水産大臣賞を受賞するなど、品質の良さは折り紙つき。その『本物』の味を、いつかは楽しんでみたいものです。

(2009年9月掲載)
富山県の「チューリップ」
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photo誰しも、子どもの頃には描いたことがある『チューリップ』。赤、白、黄、ピンクなど多様な色あいが私達を楽しませてくれます。現在、国内で流通している品種は約300種。それだけ種類の多い園芸作物は、他ではあまり見かけることはありません。

今回訪れた富山県は代表的なチューリップ球根産地。現在の栽培面積約110haで2,700万球余りを生産し、花壇植えまたは切り花生産用として北海道から九州まで国内各地に出荷されています。

ここ富山県で球根生産が盛んな理由について、富山県農林水産総合技術センター園芸研究所の浦嶋副主幹研究員に伺うと「冬季に積雪があること、春先の球根肥大期に十分な水と日照時間を確保できること、気候的には春先のアブラムシの飛来が遅いことなど、球根栽培に適した条件が揃っています。県としても力を入れており、1951(昭和26)年から新品種の育成に取り組み、現在まで28品種を世に送り出してきました。1品種を送り出すまで約20年と年数はかかりますが、産地として飛躍していくためには欠かせない重要な仕事だと考えています」。

主な病害虫について、富山県花卉球根農業協同組合の清都組合長は「病害としては球根腐敗病や、土壌伝染性病害の微斑モザイク病や条斑病が問題ですね。まだ完全に解決することは難しいですが、抵抗性品種の導入や新しいほ場での植付けなどで対策をしています。虫害ではウイルス病を媒介するアブラムシやチューリップサビダニが問題です。サビダニ防除対策としては、種球の選別と消毒で対応しています」と説明してくださいました。

現在、1,000株中3株にウィルス病が認められれば輸出禁止という基準を国内流通株にも広げて対応し、高い品質を維持しています。また整畦植込み機の導入による省力化も進んでおり、国内トップの産地としての輝きは、今後も決して褪せることはないでしょう。

(2009年5月掲載)
青森県田子町の「にんにく」
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photo古くから滋養強壮効果が認められている『にんにく』。その名の語源は"あらゆる困難に耐え忍ぶ"という意味の仏教用語「忍辱」から来ているそうで、言葉のイメージだけでも効果を実感してしまう人もいるでしょう。

現在、国内で流通しているにんにくの7〜8割は青森県産。中でも田子町は一大ブランド産地として、その名を全国に響かせています。

青森県三八地域県民局 地域農林水産部 普及指導室の松川主査に話を伺うと、「9月下旬から10月上旬にかけて植付を行ない、翌年の6月下旬から7月上旬に収穫というのが一般的な栽培体系です。主な栽培品種は『福地ホワイト六片種』で、色や形が良いのが特長です。これを施肥管理や収穫時期を見極めて、大玉で高品質のにんにくを収穫・出荷することにより、他県の産地や輸入品との差別化を図っています」。

病害虫については「病害に関しては、春腐病に羅病すると収穫に影響するので注意が必要です。虫害で問題なのはイモグサレセンチュウです。被害球は出荷クレームに繋がることもあるので対策には力を注いでいます」とのこと。

現在の取り組みとして「安定した出荷を行なうために、田子町では独自の施設(CA貯蔵庫)を管理運営し、通年出荷を実現しています。また、生産農家の方々が皆で足並みを揃え、厳しい自家選果をクリアしたものを出荷するという姿勢は、日本一の産地としての誇りがそうさせているのだと思っています」。

近年、輸入量の増加により産地として大きく影響を受けたこともあったそうですが、輸入物にはない大玉の出荷などによって厳しい環境を乗り越えてきたという田子町のにんにく。今後の方向性として「植付・収穫共に人力に頼らざるを得ないのがにんにく栽培の大きな悩みです。植付機や収穫機といった機械の導入が進めば、新たな展開が開けるのではないかと考えます。最近は他県の産地も頑張っているので、こちらも負けずに頑張っていきたいですね」と最後に話して下さいました。

(2009年1月掲載)
 

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